《対談》心理学博士の掛札逸美さんに伺う『コミュニケーションについて』

《対談!エビちゃんが聞きました》
えびさわけいこが、いろいろな方との対談を通じ新しい発見や驚きを皆様にお伝えするコーナーです。
気軽にためになるお話をご提供できたら嬉しいです。えびさわは、皆様とのご縁を大切にしていきます。

新コーナーの「対談!エビちゃんが聞きました」

第4回目となる今回の対談のお相手は、エビちゃん(えびさわけいこさん)の筑波大学の同級生である心理学博士の掛札逸美さんです。
エビちゃんと掛札さんは、10月に東洋大学の白山哲理塾にて「リーダーコミュニケーション講座」を開催しました。来年(平成26年)1月にまた講座を開催する予定です。


えびさわ:文京区議会議員えびさわけいこ
掛札さん:心理学博士の掛札逸美 さん


えびさわけいこ(以下えびさわ)
一緒に筑波大学の農林学類で勉強したのに、どうして“子どものケガ予防について”の勉強を始めたんですか?

掛札逸美さん(以下掛札さん)
大学を出た後、健康診断団体の広報室に勤めていたにですが、単に文章を書いているだけではこれから先やっていけないと思いまして。ちゃんと健康心理学というものを勉強しようとコロラド州立大学の大学院に留学したんです。
ところが大学院に行って半年の頃に、車にはねられ、それをきっかけに、健康心理学の中でも傷害予防(ケガ予防)の心理学、安全の心理学を学んだのが始まりですね。そして日本に帰ってきて、安全の心理学の中でも、子どもの安全を専門にして「産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター傷害予防研究チーム」という所に5年間、研究員をしていました。

えびさわ
車にはねられたって・・・・、どんな事故だったのですか。それにしても、自分ケガと子どもの安全予防では結構違いがありますよね。なぜ子どもの安全を専門に始めたのですか?

掛札さん
例えば、交通事故そのものは人間の不注意から起こるものですから、そう簡単に防ぐことはできない。けれど、事故によるひどいケガや死亡を防ぐことはできますね。
たとえば、シートベルトがあったり、チャイルドシートがあったり、自転車のヘルメットがあったりするわけです。これはどれもケガ予防であって、事故予防ではないですよね。私の事故の場合も、ヘルメットをかぶっていたら、頭のケガは防げたかもしれない。

事故後、よく周りを見渡してみると、ヘルメットをかぶっていない人がかなりいる。なんとかしよう、と思ってケガ予防の心理学を始めました。それが始まりです。

確かに今は、私は子どもの事故予防・ケガ予防を専門にしていますが、「子どもをどうにかしよう」ということじゃありません。視野も狭いし、判断力もないし、注意力も低い。子どもは、事故を起こす生き物、事故に遭う生き物、ケガをする生き物なんです。
だから、当然のこととして大人を教育しないと、変えていかなくてはならないと。

私がやっているのは要するに、大人を変える方の心理学です。安全の対象は子どもなのですが、実際のターゲットは大人。保護者であったり、社会であったり、保育士さんたちなんです。「うちの子どもは大きなケガなんてしない」「大丈夫」という思い込みが重大な事故を招いてしまいますから、そこを変えていこう、というのが私たちの研究ですね。

えびさわ
なるほど。ヘルメットをかぶらずに事故にあったご自分の経験から、「防げたこと」・「意識さえ違っていれば防げること」があるという事を広めていこうという事ですね。

子どもは自分ではケガを防げない、だから大人がしっかり子どもを守ってあげなくてはならない。
だから、だからこそ子どもの為に大人にきちんとケガ予防の教育していく事が必要であるわけですね!! なるほど、繋がりました。
まずは大人。子どもに接する保育の現場、保育士さんですね。
では、保護者や保育士さんなどの大人にケガ予防を教育して行く上で、重要なことや注意していることがあったら教えてください。

掛札さん
子どもの保育には、保育園と親との間でのコミュニケーションが重要です。
保育の大切さ、素晴らしさと同時に、子どもの集団の中で起こる危険についてもきちんとバランスよく伝えていかなければならない。ここでコミュニケーションが重要になってくるんです。

えびさわ
コミュニケーション。そうですね、保護者とのコミュニケーションは重要ですね。

では、コミュニケーションについては、いつ学んだのですか?

掛札さん
コミュニケーションというのは、心理学の中のあちこちに入っているのです。
コミュニケーションはあらゆる社会科学の基礎にありますから、日本に帰ってきたときに、どのように人に伝えるか、どう人を動かすか、そこの大切さを改めて感じましたね。

えびさわ
現在、コミュニケーションを取れない若者が増えていると言われていますが、私は若者だけではないと思うのです。
コミュニケーションを取れない大人も増えている気がします。この状況について、掛札さんはどうしていけばいいと思いますか?

掛札さん
コミュニケーションというのは、極端に言うと、自分自身のためのものですよね。
他人のためでなく、自分のため作りたい関係がある、変えたい状況がある、それをどうやったら手に入れられるか。そのためには、どうやって相手に正確に伝え、かつ納得させるかが重要なんです。「どうアプローチすれば相手が動いてくれるのか」を考えることが大切です。

日本人は全体的に、そして特に若い人たちはそれをあまりよく理解していません。本来そうは言っても、若い人たちのコミュニケーション力が低いのは当然です。なぜなら、本来、それを教えるはずの年上の人たち、親が教えられなくなっているのですから。

えびさわ
そうですね。だから、掛札さんと一緒に東洋大学白山哲理塾で開催している『コミュニケーションリーダー実践養成講座』は、多くの方に受けて貰いたいと思うのです。
若い人だけでなく、親となる年齢の30代、会社で中間管理職となり部下と上司に挟まれる40代の方々に受けてもらいたいですね。

掛札さん
そうですね。日本は、「上から下への流れ」が強い国ですから、上の人間がしっかり範を示していかないと下の人間はついてこない。
子どもと親も同じです。そう考えていくと、子どものコミュニケーション力を改善するにはどうしたらいいと思います。

えびさわ
親と子どもがしっかりコミュニケーションを取るという事ですね。
親と子どものコミュニケーション、親が子どもに話しかけてあげる事が重要なのではないでしょうか。
子どもは自分から話かけない事が多いです。場合によって、一日中誰とも会話をせずに過ごすこともあります。
それじゃダメですよね。親が話しかけてあげないと。『今日は何があったの?』と聞くくらいのことをしないといけないと思います。

掛札さん
ここ数年、アメリカで話題になっている「ボキャブラリー・ギャップ」という話があります。
語彙の多い少ないには貧富の差が大きく影響する。語彙を増やす一番の基本は、大人による反復と問いかけです。

「でんしゃだ~」「そうだね。電車だね。青い電車だよ。あ、今度は何が来たかな」「でんしゃ! あお、でんしゃ」「そうだ、青い電車だ」…、これが反復や問いかけですね。こういった経験を、特に3歳までの間にどれだけ与えられるか、が重要です。本を勝手に読ませたり、スマホを与えたりするのではなく、親が自分の声でどれだけ「反復」「問いかけ」「会話」を子どもと行えるかが重要。

米国の場合、なぜそれが貧富の差によるかというと、貧しい人たちは忙しいから、それだけです。
じゃあ、日本はどうかといったら、貧富の差とは無関係に、保護者が忙しすぎる。もちろん、保育園でもそういう教育はしていますが、やはり親自身が忙しさの合間を縫ってでも、子どもたちとこういった時間を持つべきですよね。
米国の研究でも、「貧しくても子どもとの対話の時間を持っている保護者の子どもは、語彙が多い」という結果が出ていますから。

えびさわ
語彙が少ないと、人とのコミュニケーションもうわべだけとなり、深い話ができなくなるということですね。
だから保護者は、子どもが語彙を増やしていけるように子どもに話かける事が重要なのですね。

掛札さん
深い話というのは何かというと、「自分が伝えたいことをきちんと伝えられること」です。
たとえば、今自分が怒っているとしても、語彙が少なかったら「ムカつく」としか表現できません。
自分の心の中を掘り下げる言葉もないし、人に伝える言葉もない。

えびさわ
なるほど。なぜムカついているのか、何にムカついているかなどを的確に表現できないのですね。
それでは、相手にムカついているから私はこう改善して欲しいという事など、とうてい伝える事は無理になりますね。

掛札さん
アメリカでつい最近できた面白い研究結果があって・・・・。軽い大衆小説を読んでいる人と重い文学作品を読んでいる人とでは、他人の感情に対する感受性に大きな差が出るそうです。前者はキャラクターの心情が単純に描かれている一方、後者は複雑に描かれているかだと解釈されています。

重い文学作品では、何がその人物の心の奧に隠れているのか、というのを考えなくてはなりませんから、そういう習慣がつくのでしょうね。

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えびさわ
なるほど。そうやって実際のコミュニケーションにおいても相手が何を考えているのかな、相手が言っている言葉の裏には何があるのかなというのを考えていけばコミュニケーションのできる子が育つという事ですね。

掛札さん
大人になってからそのスキルを身につけることもできますが、やはり子どもの頃からのほうが大事ですね。

えびさわ
コミュニケーションというのは自分のための学問であり、自分のためのスキルとして身に付けて欲しいですね。
コミュニケーションスキルは、社会人になって仕事を円滑にするために、勉強するものではなく、子どものうちから、家庭の中で学んでいるべきものであり、それを子どもに伝えるためには、親・保護者がちゃんと勉強しなければならない、ということですね。


『対談! エビちゃんが聞きました』の第四回目は、心理学博士の掛札逸美先生にお話しを聞きました。
掛札先生はエビちゃん(えびさわけいこさん)が『Tomorrow you(トゥモローユー)』という団体で行っていた『コミュニケーションリーダー実践養成講座』の講師でもあったので、今回はコミュニケーションの話を中心にして頂きました。

ボクは大学に入ってからコミュニケーションの重要さを思い知らされました。
高校までと違い、大学にはクラスというものがありません。一応形としては存在しますが、クラスメートが一堂に会してホームルームをするなどと言うことはありません。ですから自分から行動していかないと友達は増やせないのです。
今回の話や『コミュニケーションリーダ実践養成講座』での話から、もっと自分のコミュニケーションスキルを磨いていき、友人関係を円滑にしていきたいなと思いました。

写真撮影・記事:吉倉 実功


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