企業や大学と連携し地域課題の解決を推進(参議院議員 片山さつきさん)

今回の『対談!えびさわけいこが聞きました』は、
参議院議員で安倍内閣時代に特命担当大臣などを歴任された片山さつきさんです。
企業や大学と連携し地域課題の解決と推進について、お話を伺いました。


えびさわ:文京区議会議員えびさわけいこ
片山議員:参議院議員 片山さつきさん


対談の様子はこちらからご覧いただけます

 

-片山議員と文京区

(以下えびさわ):片山さつき先生は文京区とゆかりの深い方で、ご先祖が文京区で生まれ、さつき先生自身も中学校から大学まで文京区の学校に通われたのですよね。

参議院議員 片山さつきさん(以下片山議員):母方の実家である井上家が幕府の役人だったので、江戸時代初期から小日向台町のキリシタン坂のあたりに代々住んでいました。
その縁で母に文京区の学校を受験するように勧められて、中学受験で筑波大附属に合格しました。中学高校は茗荷谷近辺、それから大学3年からは本郷です。今日は文京区をスーパーシティにするお話ができたらいいかなと思っています。
文京区議で女性初の議長を経験されたえびさわさんを、私はずっと応援しています。対談できることを楽しみにして参りました。

 

-スタートアップ企業への支援

えびさわ:片山先生は大学卒業してから大蔵省に入られたのですよね。

片山議員:最初に主税局っていう税制を作るところに配属されました。ちなみに本日の最初のテーマであるスタートアップは、今度の税制では一番の課題ですよ。なぜ日本はスタートアップが、なかなかできないのだろうと感じます。

えびさわ:私も議員になる前に20年間企業で働いていたので、企業のスピード感だと か、アイディアをもっと行政に取り入れてやってくべきだと思います。今までも企業とのタイアップをどんどん進めるよう区に意見を述べていたのですが、なかなか実現していません。

「新しい資本主義」を岸田首相が掲げていますが、その中にスタートアップが入ってきたので、ぜひ何かしたいです。

片山議員:まず税制面では、これまではファンドを立ち上げる際には出資者を優遇していましたが(エンジェル税制)、これからは創業者本人にも範囲を拡げるかどうか議論をし始めています。
今度のスーパーシティに選ばれたつくば市では、学校のキャンパスの中で国有地を使って工場や事業所を作ってもいいことになったので、この規制緩和は他でも全部適用できます。国公立大学って国有地が多いですよね。

もしも文京区がスーパーシティになったら、多分適用申請すればできるようになります。ただ最近の東大って建物を建てるところがないですよね。もしもまだ残っているなら、この規制緩和のおかげで、例えば学生発ベンチャーの人が敷地内で会社を始めることも可能です。

えびさわ:「スーパーシティ構想」は、先生が考えたものですよね。

片山議員:安倍さんが首相だった頃、「日本は規制緩和がないと、3本目の矢(民間投資を喚起する成長戦略)が飛ばないのだけど、みんな抵抗してダメだ」と仰っていたのですね。それで「君は行政にも詳しいから、規制緩和のメリットを誰が見ても実感できるようにしてくれ」と言われて作成したのが「スーパーシティ構想」なのですよ。都市が変わったら、みんなが分かるじゃないですか。
例えば渋谷でも都市開発していてすごいですけど、そこにベンチャービルが建って、その中の会社が次々と上場するとかね。実際の都市の中で「まるごと未来都市」のような場所がたくさん出来たら、国の経済的成長を実感できると思います。それを文京区でも実現させたい。

えびさわ:賛成です。想像するとワクワクしますね。

先日ちょうど渋谷区にお話を聞きに行ってきました。
渋谷区はどんどんスタートアップのエコシステムを進めようとしているのですが、難しいそうです。スタートアップ企業の課題はお金、働く場所、そして人材だと伺いました。東大発ベンチャーの方に声をかけても、大学から近くはないので、渋谷まではなかなか来てくれないそうです。ますます文京区にはピッタリではと思いますが、東大卒業の先生としてはいかがでしょうか?

 

-日本の強み・大学連携

えびさわ:片山先生は大学卒業してから大蔵省に入られたのですよね。

片山議員:今は最も優秀な人が大企業に行かずに、起業の方向に進んで、実際にかなりの金額を手にした人が出てきています。10年以上前から主人はベンチャー企業を支援したり、社外取締役を引き受けたりしていて、昔よりは若干ですが増えているから絵空事ではないのですね。しかし、アメリカ西海岸にあったパロアルト研究所とかスタンフォード大学などを中心にしてできたシリコンバレーの隆盛を考えると、2桁ぐらい違いますよね。規制が多いこともあって大人しいのかな、日本は。

えびさわ:そういう人たちが、少しずつでも社会問題や地域課題にチャレンジしていただいて一緒に行政ができたら、もっと住みやすい街が増えていくと思うのですが。

片山議員:巨額に儲かる話も重要です。例えばQRコードとバーコードの両方とも発明したのは、デンソーの人なのですよね。日本の理系の会社って実はすごいのですが、それでデンソーが大儲けしたわけでもないのですよ。だから儲けようと思ったら、システムを設計するだけではなく、プラットフォームを取るところまで考えないと。

えびさわ:日本ってそういうところがありますよね。

片山議員:新しいアプリやソフトができる度に「黒船がきたぞ!」ってびっくりしていてはダメで、打ち返すぐらいでなければ。

片山議員:日本では、ゲームの世界に良い人材が集まっているじゃないですか。漫画やゲームが得意な訳だから。だからその辺で攻めることはできる。

えびさわ:かもしれないですよね。本の漫画文化が世界に広がってきて、「MANGA」が共通語になっているくらいですし、ぜひそういう人たちが活躍してくれるといいですよね。

片山議員:そうですね。リオデジャネイロオリンピックの閉会式で、安倍さんが任天堂のマリオに扮した時に世界中にウケましたね。きっとマリオのゲーム音楽に子どもの頃から馴染んでいて、みんなはその音に反応したわけでしょ。
日本が作ったゲーム、その音も含めたらすごい価値なのですよね。しかし、その価値を世界共通のプラットフォームを作ることに使えていないのが残念です。文京区は将来を担う人材を輩出できる大学が最も多いじゃないですか。

えびさわ:大学がたくさんあるので、ぜひ、一緒に実証実験をしていけたらと思います。

-デジタル人材の絶対的な不足

片山議員:昔であれば理系の最も優秀な人は医療に進んでいましたが、最近ではようやくデジタルの世界に来るようになりました。デジタル系の学部もどんどん増えてきて、今度は医科歯科と東工大が医工連携で一緒になります。それから一橋にも学部が出来ました。

私学の場合は現在、250万人養成になっているのですよね。まだまだデジタル人材が足りないので、新規に学部を申請した場合、カリキュラムがまともだったら全部通ります。

えびさわ:やはり行政の中にもデジタル人材が不足しているので、欲しいと思います。

片山議員:供給が需要に比べて少なすぎるのが今の状況ですが、さすがにこれだけデジタル系の学科が増えたので、何年かしたら人材も出てきます。医学もAI医療とかになってくると違うじゃないですか。昔のように医院を開業したら安泰という時代ではなくなってきたので、優秀な人材の流れは変わると思いますね、この5年10年で。だから文京区が頑張れば、シリコンバレーではなくて小日向バレーとかになるかもしれない。

えびさわ:いいですね、本郷バレーかもしれませんね。

 

-23区で一緒にシステム開発

えびさわ:事前に先生と打ち合わせをしたときに、行政のデジタル化やDX、その分野でも人材が足りないという話をさせていただいと思うのですが。

片山議員:令和7年度までに地方の色々な行政にかかるシステムを、全部デジタル化しなければならないのですよ。既存のシステムをIT化の時に入れたのだけど、それが全部バラバラなので。23区は全部一緒のシステムにしようとしているのは、絶対にいいと思います。

えびさわ:区長会では「23区一緒にシステム開発していかなければ間に合わない。お金もかかるし、人もいない」といった話がちょうど盛り上がってきたので、実現したいと思います。

片山議員:23区は協力して進んだシステムに移行する話は、実行した方がいいと私は思いますね。その場合、重要なのは標準APIで繋がっているシステムをみんなで使うということで。自治体クラウドはAWS(Amazonのクラウドサービス)とGoogle Cloudになっているじゃないですか。ヨーロッパは、アメリカのシリコンバレーとインドから人を集めてEUのガバメントローカルクラウドを作ったんですよ。これを本郷で発明してもらうべきですよ、AWS並みのものを。

えびさわ:またシステム開発の話が進んできたら、相談させていただけますか

片山議員:ぜひ、全面的にサポートしたいです。日本は思ったよりも地方分権が進んでおりまして、ほとんどのシステムを地方自治体自身が担っているわけですよ。

 

-これからの地方自治

片山議員:大臣だった頃に地方創生と規制改革だけでなく、地方分権も担当していて、第9次、10次とそのたびに地方分権一括法も通していました。自治体から出てくる提案の7割から8割はこの法律で認めてしまいます。しかし、最近自治体の方が諦めてしまって、あまり言ってきません。この諦めはどっからくるのだろう。

えびさわ:それは首長がやる気がないのかもしれません、言ってはいけないですが。

片山議員:議会がものをいう場合もありますが、首長の権限が自治体は非常に大きい、大統領ですからね。やっぱりそういう提案をどんどん国に投げるのが好きなタイプの首長さんもいるのですよね。だから、あんまり一生懸命なタイプは受けなくなったのかな。

えびさわ:例えば文京区のみなさんが「ここに住んで良かった!」と感じるのは、他の自治体よりいいと思った時じゃないですか。だからデジタル化の推進を先んじてやっていくのが重要なのではないでしょうか。

片山議員:そう思います。ほとんどの規制は、法律まで改正しなくても緩和できるのですよ。スーパーシティの時も調べたのですが、規制にも色々なタイプがあるのだけども、7割ぐらいが法律じゃないのですよね。やっぱり一番大変なのは業界調整なのですよ。

 

-文京区もSDGsの未来都市に?

えびさわ:片山先生が作ったSDGsの未来都市も、文京区が手を挙げてないのでちょっと残念だなと思っています。

片山議員:未来都市は日野市が、都内では最初に選ばれたのですよ。背景として多摩の丘陵のこの地域を環境都市で売り出すといったミッションを、当事者が感じていることもあり、割とすっと通ったのですよね。その次に、0メートル地帯が多い墨田区と江戸川区が通ったと。水害リスクはスーパー堤防に関係する区、それからウォーターフロントの区は、東京都の災害の泣きどころじゃないですか。そこを地域コミュニティの強化で乗り切るとか。「遠くの親戚よりも近くの他人」の発想で割と言っていますよ。

えびさわ:文京区も神田川があるので、結構氾濫するのですよ。

片山議員:昔に比べれば良くなりましたよね。

えびさわ:良くなったとはいえ、垂直避難はできるようにしていくことが課題だと感じています。せっかくだからSDGSの未来都市として宣言して、区内の環境問題ともしっかり向き合っていければと思います。

片山議員:今、有事に備えた地下シェルターの問題があるけれども、東大の下に日本的なシェルターを作ったらどうですか?

えびさわ:すごいことを言いますね(笑)。

片山議員:東大は面積あるからね。そうしたら文京区のみんながありがたがるよね、避難所になっていれば。なぜそう考えたのかは、「文京区は割と丘と坂があるため防空壕が掘りやすかった」と東京大空襲を生き延びた母が自慢していましたから。今では欧米ではシェルターは当たり前なのですよ。それから、地下鉄の路線も文京区にはいっぱい通っています。地下鉄に入った方が安全ですが、水が意外と出やすい問題もあって、地下鉄の路線や駅、地下道を強靱化しなきゃいけない、有事のために。

えびさわ:先生とお話しているとアイディアが尽きず、本当に今日は勉強になりました。

片山議員:SDGsと安全性は今やセットになっているので、単に二酸化炭素を減らすだけでは物足りなくなっていて、生き延びるために必要な時代になっているから。そういうアイディアを入れるといいと思いますよ。私のライフワークでもあるので、ぜひ一緒にやっていきましょう。

えびさわ:本日はどうもありがとうございました。

ライター 乙部 雅子

文京区では今年度から、スタートアップ企業や大学と連携し
地域課題の解決に向け実証実験等をする事業をスタートしました。
文京区と一緒にという思いを込めて「B+(ビータス)」となずけました。
その第一弾は、アプリを活用した視覚障がい者の移動支援です。

詳細は【文京共創フィールドプロジェクト(B+)】から


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